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ソフトウェア業界の巨人が、コンピュータメーカーに圧力をかけて、ワードやエクセルといった自社製のアプリケーションの抱き合わせ販売をおこなっているのではないかという疑いもあった。
M社が、J氏判事の法廷だけでなく、世論という法廷でも厳しい闘いを強いられていたにもかかわらず、E氏は数週間ぶりに笑顔になっていた。 背中の痛みはすこしやわらいでいた。
しかも、デザイン内覧会の2日まえには、デベロッパーリレーショングループのマネージャーであるB氏との休戦協定が結ばれていた。 E氏は、抜け目ない政治的策略により、B氏、M氏からの電子メールをB氏に転送して、全員がクロームを支持していることを教えてやった。
このきわめて強力な顔ぶれに、B氏もようやく折れて、クロームの伝道に乗りだすといってくれたのだ。 とはいえ、2日間にわたるデザイン内覧会は、プロジェクトにとって決定的な試金石だった。

社内のライバルに打ち勝つのと、大義に賛同する社外の同盟者を集めるのはまったくべつのことだ。 マイクロソフトは、ウェブ・デザイナーに依頼して、I社の(それも高速の)CPUが搭載されたパソコンで動作するM社のブラウザでしか見えないサイトを制作させた。
これこそ、E氏と、彼ほど乗り気ではないR氏が(このころ、R氏はプロジェクトの中心部に近づかず、R氏のチームに加わる準備をしていたので、デザイン内覧会にも参加していなかった)市場での成功の要素と考えている点だった。 もしも、内覧会に出席しているプログラマーや企業の代表がクロームのコンセプトを理解できなかったら、クロームが躍進を遂げるのはまずむりだろう。
もちろん、商業的な成功も望み薄だ。 E氏は、デザイン内覧会では行儀よくふるまった。
これは、かつてないほど大勢の人びとがクロームの下見をし、M社のテクノロジー開発の計画を聞く場だった。 E氏の室内を流れる川のそばで、ヤシの木の下にならんでいた数名の参加者は、クロームがデベロッパーリレーショングループともめているという噂を耳にしていた。
M社の幹部たちは、この不和に気づいていたが、士気に影響するといけないので、ウェブ開発者たちには真実を知らせないようにしていた。 べつの参加者は、世界がウェブ上の3Dを求めているのか、それとも、M社が求めているだけなのかと考えていた。
またべつの参加者は、クロームというテクノロジーは、消費者にI社ベースのパソコンを買わせるための遠回しな作戦であり、高価なパソコンを作って家庭やオフィスに売りこむことを正当化するために考案されたのではないかと発言した。

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